親知らずを抜いた方がいいのはどんな時?

先日、12歳のお子さんのレントゲンを撮影したところ、顎の骨の中に親知らずがあることが分かりました。そのことを保護者の方にお伝えしたところ、「じゃあ将来は全身麻酔で抜かないといけないですよね…」と心配されていました。

親知らず=抜く、というイメージが強いかもしれませんが、実は、親知らず=必ず抜歯というわけではありません。

今回は、どんな時に親知らずを抜く必要があるのか、お話ししたいと思います。

➀痛みの原因になっている

親知らずはお口の一番奥に生えるため歯磨きが難しく、ばい菌が溜まりやすい歯です。そのため、歯ぐきの炎症が起こり、腫れたり、物が当たると痛かったりします。炎症が歯ぐきだけでなく周囲へと広がると、お口を開けにくくなったり、飲み込むときに痛みがあったり、日常生活に影響が出てしまいます。私たちはこの炎症を「智歯周囲炎」「Perico」などと呼びます。この場合、抗菌薬と痛み止めで炎症を抑えたのち、再発予防のために抜歯することをお勧めします。

➁親知らずに虫歯がある

歯磨きが難しいため、虫歯にもなりやすいです。虫歯が表面的なものであれば経過観察とする場合もありますが、穴になってしまった場合は、詰め物で治すよりも抜歯をお勧めすることが多いです。

➂生え方・方向が悪い

親知らずは、真横・斜め・半分埋まったまま、といった状態で生えることがよくあります。口の奥にあることに加えて方向の問題もあると、歯磨きはさらに難しくなります。親知らず周囲の歯茎の炎症や親知らず自体の虫歯だけでなく、手前の歯が虫歯になるリスクも高まります。まっすぐに生えてこない親知らずは、将来的なトラブルの原因になりやすいため抜歯を検討します。

➃矯正治療をする

歯を動かすスペースを確保するためや、矯正治療後の後戻りを予防するために親知らずの抜歯が必要になることがあります。

➄別の病気を伴っている

歯科に関する病気で「嚢胞」というのがあります。智歯周囲炎や虫歯ほど頻度は高くありませんが、この病気は親知らず周囲にできることが多いです。他にも「腫瘍(主に良性)」も親知らずの周りにできることが多いと言われています。これらの病気の治療と併せて親知らずを抜く必要があります。

逆に

親知らずを抜かない方が良い場合もあります。

・まっすぐ生えていて噛むのに役立っている場合
・入れ歯のバネをかけたりブリッジの土台として使えたりする場合
・他に歯がない部位への「自家歯牙移植」を検討できる場合
・骨の中に完全に埋まっている場合
・持病、飲んでいるお薬、年齢などの観点で、抜歯自体のリスクが高い場合

親知らずを抜くか/抜かないかは、今の状態と将来的なリスクを天秤にかけて判断していきます。気になることがあればぜひご相談ください。