乳歯から永久歯へと生え変わる時期、左は生え変わったのに右が生え変わらない、といった生え変わりの左右差に関する不安を聞くことがあります。
体の他の部位と同じように、歯も基本的には左右対称に成長していくはずですが、保護者の方が感じておられるとおり、実際には左右差が生じることがあります。
今回のコラムでは、その原因をお話ししたいと思います。
そもそも平均的な生え変わりの時期は?
・6歳ごろ
6歳臼歯と呼ばれる永久歯が乳歯の並びの後ろに生えてきます。
・6~8歳ごろ
上下の前歯が生え変わります。
・9歳から11歳ごろ
犬歯とその奥2本が生え変わります。この3本の生え変わりの順番は個人差が大きく、犬歯が最後になることもあります。
・12~13歳ごろ
12歳臼歯ともよばれる7番目の歯が生えてきます。
・親知らず(8番目の歯)
高校生くらいで生えてくる人もいますし、そもそも親知らずが無かったり、あっても生涯生えてこなかったりと様々です。
なお、これはあくまでも「平均」です。歯の生え変わりは個人差が大きく、平均的な年齢よりも数年ずれることもありますので、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。
生え変わりのイメージ
お子さんのレントゲン写真を見ると、乳歯の歯根の先で永久歯が控えていることが分かります。永久歯は、乳歯の歯根とその周りの骨を吸収して、自分が進む道を作りながら生えてくる、というのが生え変わりのイメージです。
生え変わりの左右差の原因
それでは本題に入りましょう。主な原因として5つ挙げられます。
➀ 乳歯に大きな虫歯があった・虫歯が原因で乳歯を抜いた
乳歯に限った話ではありませんが、大きな虫歯があると、ばい菌が歯の神経を通って根の先にまで入り込みます。これを根尖性歯周炎と言い、乳歯の歯根そのものと周りの骨を溶かしてしまいます。先ほどのイメージから言うと、乳歯に根尖性歯周炎があるとき、永久歯にとっては、自分が作るべき道が既にできているような状態になるわけです。労力が省かれるので早く生えてくることになります。
一方、乳歯に根尖性歯周炎があることで、永久歯が生えてくるのが遅くなることもあります。腫れや痛みが強い場合に起こりやすいです。こちらの場合は、永久歯が道を作ろうと頑張っても、乳歯側の勢いが強くて前に勧めないというイメージです。
➁ 永久歯が生えるのを邪魔する「何か」がある
永久歯の前進を妨げるものが顎の骨の中にできてしまうことがあります。例えば「過剰歯」はその名の通り、余計な歯が作られてしまうものです。上の前歯のあたりにできやすいです。「歯牙腫」は歯が作られる過程で正しい形に作られず塊を作ったものです。その他にもいろいろなものがありますが、とにかく、何か異常なものができてしまう結果、永久歯への生え変わりに遅れが出ます。
このような場合には、邪魔しているものを取り除く必要があります。
➂ 歯ぐきが硬かったり厚かったりする
➁とは異なり病名はつきませんが、歯ぐきの硬さや厚みのせいで永久歯が生えてこられず遅れが出ます。この場合には、歯ぐきを少し開いて通り道を作ることで、永久歯が自然と生えてくる場合が多いです。
➃ 生まれつき永久歯がない
生まれつき永久歯が無いことを「先天欠如」と言います。原因はよくわかっていません。上下の5番目と2番目の歯に先天欠如が起こる頻度が高いです。特に5番目の歯が先天欠如している場合には、大人になっても乳歯が抜けずに残ることが多いため、できる限り長く守っていく必要があります。
4歳以降であれば、レントゲンで先天欠如があるかどうかを確認できます。
➄ 永久歯の位置や向きに問題がある
乳歯の歯根のすぐ先に永久歯が控えているのが理想ですが、離れた位置に合ったり、横向きや斜めになっていたりすることがあります。歯は基本的に向いている方向にしか進めないので、生え変わりが遅れます。
方向や位置の問題があるときは、歯を正しい方向・位置へ引っ張り出すような処置が必要になります。成長と共に自然と方向や位置が改善することもあるので判断が難しいところですが、レントゲンで経過を見ながら、適切なタイミングを判断します。
結びに
お子さんの乳歯が抜け永久歯が生えてくるのは、成長を感じる嬉しい瞬間だと思います。一方で、周りのお子さんと生え変わりの時期が違ったり、左右差があったり、不安を感じることもあると思います。そんな時はぜひご相談ください。一緒にお子さんのお口の健康を守っていきましょう。