20歳以上の人の9割以上はむし歯になった経験があるといわれております。
これだけ多くの人が経験するむし歯ですが、むし歯になってしまった場合に本当に治療が必要かどうかについてはあまり知られていないのではないでしょうか。
今回はむし歯の診断と治療の基準についてお話します。
むし歯の診断基準と治療基準
ア C1
C1の場合、むし歯は歯の表面のエナメル質内(図の白い部分)にとどまっています。この場合、無理に治療は行いません。歯磨き指導や食生活指導を行い、フッ化物入りの歯磨剤を使用してもらって経過観察していきます。上手に歯磨きができていれば、進行することなく経過していく場合が多く、痛みもない場合がほとんどです。
イ C2
C2の場合、むし歯は歯の表面のエナメル質を貫通し、その内部の象牙質(図のオレンジの部分)まで進行します。痛みが出る場合も多く治療が必要になってきます。ただし、C2でも象牙質のわずかしかむし歯に侵されていない場合は経過観察する場合もあり、レントゲンや症状をみて治療が必要かどうかを判断していきます。C2の場合は神経を取らなくて済む場合が多く、コンポジットレジンという白い詰め物で治していきます。
ウ C3
C3の場合、むし歯は歯の内部の神経まで到達し、痛みを引き起こします。ときには耐えがたい痛みが現れ、夜も眠れないほどズキズキと痛む場合もあります。この場合はむし歯の除去に加え、神経も除去しなければならず、治療回数、治療費用はC2に比べ多くかかります。ここまで進行しないように、定期的な歯科検診をおススメいたします。
エ C4
C4の場合、さらにむし歯が進行し、歯冠(歯の頭の部分)が崩壊します。内部の神経も死んで腐敗しており、治療としては歯を抜く場合が多くなってしまいます。歯がなくなってしまうと、入れ歯、ブリッジ、インプラントといった治療が必要になりC3の場合に比べ、さらに治療回数、治療費用がかかってきます。神経が死んでいるため痛みがない場合も多いですが、お口の中にこのような歯がある方は放置せずに歯科医師に相談してください。
まとめ
以上、今回はむし歯についてお話しました。意外と治療が必要ない場合、逆に痛みはなくても治療が必要な場合などお分かりいただけたのではないでしょうか。早期発見、早期治療または経過観察ができるように定期的に歯科検診を受けましょう。